ARCHIVE 20190603
英語も日本語のように学ぼう
1.私たちは英語をどう学んでいる?
どの言葉でもそうですが、1つの単語がいろいろな意味に使われることがあります。たとえば、ドラマから例を挙げますと、英語の walk という単語は
I'm warning you. I'll walk. (前もって申し上げますが、私は辞めさせていただきます)
のように、「辞職する」という意味でも使われます。そうすると、仮に受験生ですと「walk は、①歩く、②散歩する、③職場を放棄する、④辞職する…」といった感じで、1つの英単語のいろいろな意味をカードなどに書き出してひたすら覚えようとするかもしれません。
私たち成人も、単語カードを作らないまでも、どこかこれに似た英語の学び方をしている人が多いのではないでしょうか? 皆さんはいかがでしょうか? 英語を「英単語→意味(日本語)」という関係で学んでおられませんか?
これは学校での英語の学習の仕方にも原因があるのかもしれませんが、もっと根本的には、私たち成人が英語(外国語)を学ぶときには、もうすでに日本語(母国語)を知っているからだと思われます。そのために英語を学ぶ際に自然と日本語の助けを借りてしまうのです。
このやり方は、いわば英語を日本語の世界に取り込んで学ぶようなものですから、日本人にとっては抵抗感の少ない楽な学習方法です。
しかし、実はこのやり方が私たちが英語を話せない(書けない)原因になっているのです。
なぜかと言いますと、このように英語を「英語→日本語」という結び付きで覚えると、英語を話す(書く)ときに、日本語の助けを借りないと英語が出てこないからなのです。
書くときには、自分のペースで作業ができますからまだいいのですが、話すときには困ります。とっさに英語が出てこないのです。
2.英語も日本語と同じように学ぼう
ではどうすればよいのでしょうか?
ここで、私たちが日本語(母国語)を身につけたときのことを思い出してみましょう。
私たちが日本語を学んだときは、言葉は何も知らない状態で、周りの人が日本語を話すのを聞いて覚えました。
このとき私たちは、言葉が使われている状況を手掛かりにして、その言葉の意味を理解して覚えたのです。
つまり、日本語は「状況→言葉」という関係で学んだわけです。
日本語はこういうやり方で覚えたために、言葉が状況に応じてすんなりと出てくるように身につけられたのです。
だから、英語についてもこういうやり方をしないと話せる(書ける)ようにならないのです。
つまり、先ほど例に出した walk について言えば、① 歩く…、④ 辞職する、と日本語訳で覚えようとするのではなく、英語のドラマやニュースなどでネイティブスピーカーが "I'll walk." (私は辞めさせていただきます)と言うのを聞いて、その言葉を状況と結びつけて自然に覚えるのが一番よいということなのです。
英語を学ぶということは、英語の日本語訳を覚えることではなく、英語をそれが使われる状況と結び付けて記憶することなのです。日本語訳はあくまでその補助でなければなりません。
このようなやりかたをしてこそ英語は日本語と同じように自然に話せる(書ける)ようになるのです。
(この文章は、2019年6月3日に「JOICEの英語観察帳」というブログのために書き下ろした記事を、2019年8月1日に加筆補正したものです)